2012年2月22日水曜日

泊3号訴訟2回目 泉意見陳述

泊3号機本格運転取り消し訴訟 2月22日 口頭弁論
 泉かおり
原告団代表の泉かおりです。
私の本職はアフリカ問題です。30年間、アフリカの土地紛争に関する研究を続け、国連で働き、ムガベ政権のジンバブエで長く暮らしました。25年ぶりに帰国して、福島事故が起こり、ジンバブエ政府は、国民の家を焼き払い、拷問し殺したが、日本政府は、危険な原発を動かして、放射能で国民をじわじわ殺している、どちらも同じだと感じています。
昨年、7月20日、枝野前官房長官は、「泊3号機は再稼働ではない」とし、8月17日高橋はるみ知事は、泊3号機の安全性は確保され、地元の同意を得たとし、海江田前経産大臣は、北海道電力に泊3号機本格運転再開の許可を与えました。こうして、私たちが住む北海道の泊3号機は、福島第一原発事故からわずか5ヶ月後に、事故後、全国で初めて本格運転を再開する原発となりました。私たち原告団の質問はひとつです。「福島第一原発事故の検証も終わらぬまま、安全対策もなしに、泊3号機の安全性は、本当に確保されたのですか?」
福島第一原発事故の原因に関して、東電は、津波が原因であるとしてきましたが、国内外の専門家より、津波以前の配管損傷が原因である可能性が指摘されています。昨年12月19日の全国市民団体との政府交渉の場で、原子力安全・保安院は、「地震による配管損傷の可能性は否定できない」と回答しました。もし、これが証明されれば、泊3号機を含め、耐震性の見地から、日本全国に安全な原発は一機もないことになります。
一ヶ月前の1月22日、全道43団体により「Stop!原発北海道」という全道連絡会が発足しました。翌23日、私たち43団体の代表は、北電と道に対して、「国会東京電力福島第一原発事故調査委員会の調査・検証が終わるまで、再稼働をしないでください」と申し入れを行いました。この席で、北電は、「100%安全な原発はない」と明言しました。一方、道は、「避難道路の設置、オフサイトセンターの移設、30km圏内住民のための緊急時安定ヨウ素配布の予算はまだついていない。30km圏内自治体居住、避難状況の基礎的資料収集、防災計画策定の準備はこれからです。」という回答を行いました。何の防災対策もとられていないのです。予算さえまだついていません。
2月15日の国会東京電力福島第一原発事故調査委員会のヒヤリングで、原子力安全委員会の班目春樹委員長は、30年前に作られた古い安全指針そのものに瑕疵があったこと、緊急時の備えもなく、「事故はない」という前提で原発が推進されてきたことを認め、謝罪しました。前原子力安全・保安院長の答弁からも、保安院という組織が、専門性も持たず、住民や国民の安全を守る意識が欠如していることが判明しました。つまり、こういうことです。時代遅れの安全指針をもとに、「事故はない」という前提のもと、専門性も持たず、国民の命と安全を守る意識のない、原子力安全委員会と保安院により「安全性」を保証され、福島の事故の原因究明もなしに、耐震性の問題も無視されたまま、そして、新たな防災対策も予算もなく、活断層の存在も無視され、「原発に100%の安全はあり得ない」にもかかわらず、今、この瞬間も、泊3号機は動かされ続けているということです。北海道電力は勿論のこと、本来、国民の安全を守るはずの国が、そして道が、泊3号機を動かすことによって、この国民に対する義務を放棄し、私たち道民を危険にさらしつづけているのです。
福島第一原発事故から1年近くたった今も、被災者の方達の苦悩はとどまるところを知りません。安全神話をばらまいてきた電力会社と政府が、ひとたび事故が起きたときには、責任を取らないこと、誰にも放射能に汚染された土と水と空気を元通りにすることは不可能であるということが明らかになりました。子どもたちは見殺しです。もし、泊3号機で事故が起きたら、本格運転を許可した国は、枝野経産大臣は、高橋はるみ知事は、北電は、そして、泊4カ町村の首長たちは、私たち道民に対して、責任を取ってくれるのですか? 答えてください。
3月7日、女性の地位に関する国連会議に、福島の有機農業者の佐藤幸子さんのアピールが届けられます。 佐藤さんはこう語ります。「人類は、これまでスリーマイル島、チェルノブイリを経験してもまだ、原発を止めることができませんでした。フクシマが起こって、反原発運動をしてきた全ての人々が「何故、チェルノブイリの後に原発を止められなかったのだろうか」と後悔しました。ヒロシマ、ナガサキを経験した人々は、「自分たちが最後の被曝者にしなければ」との思いが届かず後悔しました。福島には、「福」がたくさんありました。「きれいな、水、空気、大地、そこからとれるおいしい食べ物」この「福」を全て奪った原発を決してこのまま、動かし続けてはいけません。世界中の原発が止まったとき初めて、フクシマはこの苦しみ、悲しみ、怒りを収めることができるのです。それまで、フクシマを風化させてはいけないと覚悟しています。」
泊を第二の福島にしないために、泊3号機を今すぐに止めてください。せめて、4月末に、泊3号機が定期検査で止まる全国最後の原発となったとき、再稼働をしないでください。 福島の苦悩を無駄にせず、私たちが、国と道に対する信頼を取り戻すためにも、泊3号機を止めてください。私の口頭弁論を終わります。

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