北海道知事 高橋はるみ様
泊原発周辺の活断層調査第三者委員会設置及び耐震性安全対策に関する
緊急要請書
要請の主旨
1.
泊原発周辺の複数の活断層とその連動の可能性に関して、独立した第三者委員会を設置し、調査を行うこと。
2.
この第三者委員会の委員の選考委員会に、市民代表最低3名も選考委員として参加すること。
3.
この第三者委員会の委員に市民代表3名を参加させること。
4.
この第三者委員会による調査結果に関する道民公聴会を開くこと。
5.
この第三者委員会の結果と道民公聴会の結果を踏まえて、安全対策の策定及びその実施が終了するまで、泊原発の再稼働を容認しないこと。
要請の理由
5月21日の第73回原子力安全専門委員会では、活断層の連動に伴う挿入時間などの問題、及び大飯原発の斜面崩落の問題について審議が行われました。大飯原発再稼働の耐震性の再評価で、関西電力は、制御棒挿入時間の評価を2.16から1.88秒に引き下げました。 これは、関西電力が時刻解析法に解析方法を変えて、1.88秒を導いたことがわかります。電力事業者が、原発の安全性基準をクリアーするために、重要なデータを意図的に低く見積もったわけです。[1] これは、安全性担保に不可欠な耐震性の再評価が、電力事業者にまかされていること自体に問題があることを明らかにするものです。
北海道電力が4月23日に、経済産業省原子力安全・保安院に提出した泊原発周辺の活断層の連動評価に対して、保安院より「地震の揺れの周期が長い場合、従来想定された揺れを上回る可能性がある」と、事実上“却下”され、この件に関する再調査を指示されました。泊周辺沖に160キロメートルにも及ぶ活断層があることが新たに指摘され、原子力安全・保安院は、北電に再調査を指示しました。福島第一原発事故発生直前の2011年1月に発表された、政府機関による活断層の調査結果は、福島第一原発と泊原発周辺で、大きな地震が発生する可能性が、ゼロに等しいと報告していたことは、ご記憶に新しいことと思います。国の地震と津波に関する意見聴取会において、泊原発周辺の断層の連動範囲について、さらなるデータが必要であり、断層の長さをさらに陸域に延長した評価も考えられるとの指摘がなされました。これに答えて、北電は泊原発周辺の活断層の再調査を行い、周辺にある海側と陸側の活断層の連動を想定した耐震安全性評価を行った結果、今回、従来の想定の550ガルを上回る揺れが起こる可能性があることを報告しました。
私たちは、今年3月6日、北海道議会に対して、泊周辺の活断層の調査を、泊原発1、2号機の再稼働を急ぐ北電に任せるべきではなく、道として独立した第三者委員会を設置して、独自の調査を行うことを求める請願書を提出致しました。今回、明らかになった泊原発周辺の活断層の連動の可能性は、泊原発の耐震性の問題を改めて問うものであり、中立な第三者委員会による調査が必要であることは、言うまでもありません。
また、泊原発以外の原発周辺の活断層に関しては、4月24日原子力安全・保安院は、敦賀原発の原子力建屋真下を走る断層を視察し、活断層である可能性があることを指摘しました。これは、活断層の上に原発は立てられないとする国の基準に反するものです。福井県の日本原子力発電の敦賀原発の敷地内を走る活断層や地下の亀裂を巡っては、これまで耐震性に問題がないとしてきた日本原電に対し、専門家が繰り返し疑問を投げかけてきた事実も明らかとなりました。平成20年に、1号機から東側に250メートル離れた敷地内を走る海底断層が活断層であることが新たに確認され、専門家から敷地内におよそ160本ある「破砕帯」と呼ばれる亀裂の一部が周辺の活断層の動きに連動することで、地面に傾斜などができて、原発の施設に影響する可能性が指摘されました。これに対して、日本原電は、調査や解析を行った結果、平成22年に「こうした亀裂と活断層が連動することはなく、原発の安全性にも影響しない」という評価結果をまとめ、経済産業省の審議会で妥当かどうか審議している最中でした。
これに対して、地形学が専門の東洋大学の渡辺満久教授は、「地下にある小さな亀裂が敦賀原発の近くの浦底断層という大きな活断層と連動する可能性については、われわれが4年前から指摘してきたことで、保安院や日本原電の対応は遅い」と批判し、さらに、「これまでの原発周辺の活断層の評価はあまりにもずさんだと言わざるをえず、敦賀原発以外にも周辺の活断層が正しく評価されていないところは数多くある。東日本大震災以来、地震が各地で頻発していることもあり、いつ地震が起こってもおかしくないという前提で、活断層を正しく評価すべきだ」と話しています。
渡辺満久教授は、2009年10月に、泊原発の西方沖15キロに存在する可能性があると指摘する調査研究結果を公表しました。しかし、北電はボーリングなどによる追加の地質調査を行なった結果、2011年6月に活断層を示す地形のずれは認められない、と渡辺教授の指摘を認めませんでした。
以上のことを踏まえて、私たちは、泊原発の安全性の確認し北海道民を原発震災の危険から守るためには、独立した第三者委員会の設置、そして、その委員会による泊原発周辺の活断層の連動の可能性及び泊原発の耐震性の調査が不可欠であると考えます。理由は以下の通りです。
1.
再稼働に関して利益相反の電力事業者に、安全性担保に重要不可欠な活断層の再調査、及び耐震性の再評価がまかされるべきではない。
2.
市民団体との2011年1月23日、3月26日及び4月11日の北電との交渉で、北電は、「100%安全な原発はない。しかし、泊1、2号機の再稼働を1日でも早く行いたい」と繰り返し明言しました。再稼働を急ぐ北電が、地震発生時の泊原発の耐震性評価に不可欠な活断層の連動の調査を行うことは、利益相反です。
3.
北電は、2010年10月に発表された渡辺満久教授の専門家としての指摘を無視し、独自で行った調査結果に基づいて、活断層は存在しないとして、泊原発の運転を続け、それを道も国も黙認してきました。日本原然が、敦賀原発周辺の活断層に関する専門家の指摘を否定し続けてきたことからも明らかなように、原子力事業者は自社の利益に相反する専門家の指摘を無視し続けてきました。 5月16日に行われた国会事故調査委員会においても、2006年に津波による原発への被害が警告されていたにも拘らず、東電は何ら措置を取りませんでした。泊原発も2006年に同様の警告を受けた原発のひとつです。このように新たに暴露された一連の事実は、改めて、原発の安全性に不可欠な活断層の連動と耐震性の調査を、電気事業者にまかされるべきではないということを証明するものです。
4.
道民を原発震災から守るためには、利益相反ではない専門家を含む独立した泊原発周辺の活断層に関する第三者委員会の設置と、それによる調査、そして市民参加が不可欠です。
泊原発1、2号機のストレステスト意見聴取会の審議は既に5月15日に開始されました。 再稼働の問題に関するこの件の重要性と緊急性を踏まえ、6月8日までにご回答いただけるよう、お願い申し上げます。
2012年5月22日
西積丹の活断層を考える会 滝本正雄
「プルサーマルを知ろう」後志住民ネットワーク(ぷしね)小林芳子
岩内原発問題研究会 佐藤英行
Shut泊 泉かおり
連絡先:FAX 011-826-3796 TEL: 09026951937 (泉)
賛同団体
1.
かみしほろ5000本 のひまわりの会
2.
廃炉の会・十勝
3.
脱原発ネット釧路
4.
風の町の未来’S(せたな町)
5.
大間原発訴訟の会
6.
岩内原発問題研究会
7.
しりべし女の広場
8.
脱原発ネットワークあかいがわ
9.
脱原発ネットワークニセコ
10.
脱原発カフェ おたる
11.
米空母に反対する市民の会
12.
核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会
13.
幌延問題を考える旭川市民の会
14.
「みどり北海道」準備会
15.
チーム今だから(旭川)
16.
非戦いぶり
17.
グリンピース(室蘭)
18.
脱原発!!放射能から子どもを守ろう 江別実行委員会
19.
「命どぅ宝」と手を結ぶ石狩市民の会
20.
脱原発をめざす女たちの会
21.
北海道電力とともに脱原発をめざす会
22.
北海道のエネルギーの未来を考える10000人の会
23.
札幌YWCA
24.
I女性会議札幌
25.
ほっかいどうピースネット
26.
ポラン広場北海道
27.
さっぽろ食まちネット
28.
市民放射能測定所 はかーる・さっぽろ
29.
「放射線汚染防止法」を制定する札幌市民の会
30.
子どもたちの未来を創る会
31.
シアターキノ
32.
市民自治を創る会
33.
第9条の会・オーバー北海道
34.
脱原発をめざす北電株主の会
35.
サッポロッカショ
36.
泊原発の廃炉をめざす会
37.
ベクレルフリー北海道
38.
泊原発を止める会
[1] 福井県知事西川一誠様、福井県原子力安全専門委員会宛の要望書「悲惨な福島事故を顧みずに安全基準をふみにじり、安全性評価を従来より甘くする関電の暴挙は絶対に認めないでください。「国の一元的責任」を主張する福井県は、制御棒挿入時間の問題、斜面の問題について国の評価が未だ出ていないことを確認してください」グリーン・アクション、美浜の会 2012年5月23日