2012年5月11日金曜日

瓦礫の広域処理の問題点を認識し 苫小牧市のがれき受け入れ表明の中止を求める要請書


瓦礫の広域処理の問題点を認識し
苫小牧市のがれき受け入れ表明の中止を求める要請書

苫小牧市長 岩倉博文 

瓦礫の広域処理には、被曝リスクという点からも、被災者支援という人道上の理由からも、苫小牧市と道政の未来を考える上からも、根本的な問題があります。よって、以下を要請いたします。

要請
1.        被災地からの瓦礫の受け入れについては、瓦礫の安全性が確保できないため、行わないでください。がれき受け入れの正式表明は中止してください。
2.        被災地支援については、避難者の受け入れなど、苫小牧だからこそ可能な方策を検討してください。

理由
1.放射能汚染検査には不備があり、安全性を確保できない。
現状の放射能汚染検査では、検出されない核種が多々あります。しかも、瓦礫の汚染調査はサンプル調査であり、実際の汚染度より低く試算される可能性があります。
安全性アピールのパフォーマンスとして、瓦礫に空間線量計をかざし、上昇が見られないと主張されることがありますが、瓦礫の汚染度は空間線量計では測定できません。

2.再生品に関する国と道の基準は100Bq/Kgとされているが、これが安全だという科学的根拠は示されていない。

3.瓦礫の広域処理は国費から賄われ、被災者支援予算を圧迫する。
がれきの処理経費は、宮城県・岩手県だけで1兆700億円ともいわれています。岩手県岩泉町の伊達勝身町長が主張するように、安全な瓦礫なら現地に仮設焼却炉を作るほうが経済的で、雇用の面から復興に役立ちます。一方、危険な瓦礫なら、コンクリートで封じ込めるなどの対処法を考えるべきで、遠方に運搬して汚染を拡大するべきではありません。広域処理には膨大な輸送費や処理費がかかり、すべて国費からまかなわれます。それらの費用は被災地に直接まわすほうが、より有効な支援になります。

4.広域処理が進まないことは、瓦礫処分の遅れの主な原因ではない。
地元での処理が遅れた原因のひとつに、全国・広域化を想定して計画・予算化したことがあると考えられます。国が全国化・広域化の方針を掲げているために、地元でのがれき処理を進められなかったのが現実ではないでしょうか。広域処理に回される瓦礫は、政府計画でも瓦礫総量の20%にすぎません。つまり、仮に広域処理が半分進んでも、処理率は10%上がるにすぎません。

6.広域処理は、国際合意に反する。
放射性物質を含む廃棄物は、国際合意に基づいて管理すべきであり、IAEAの基本原則でいえば、拡散を防止して集中管理をするべきです。

7.広域処理は、道義的に反する。
特措法は東京電力に誠意ある処置を義務付けており安易に放射性物質を含む瓦礫を引き受けることは、東京電力の責任の所在を曖昧にすることになります。また、放射性廃棄物を今後も北海道が受け入れる前例となりかねません。このような前例を作ることはやめてください。

8.北海道の苫小牧だからこそ可能な、被災地支援の可能性を模索すべき。
北海道は放射性物質の降下が少ない、日本でも有数の清浄な土地です。放射能フリーの北海道農産物の増産、保養地の整備、避難者の受け入れなどを通して、被災地復興を支えることができます。

9.瓦礫の受け入れは、苫小牧市民重視の政策とはいえない。
広域処理は、苫小牧の産廃業者や再利用事業に関わる民間事業者に利益をもたらしますが、一般道民はリスクと不安を背負い込むだけで、ほぼ何も利益がありません。瓦礫受け入れは苫小牧市のみならず、北海道のイメージダウンにつながり、観光業、北海道産農産物の需要も、減じることでしょう。苫小牧によるがれき受け入れは、苫小牧市のみの問題ではないということを認識してください。また、再利用された木材合板などが市場に出回ることによって、苫小牧市民のみならず、全道民、ひいては全国民がさらなる放射能汚染と被曝の危険性にさらされる可能性もあります。

以上の理由により、私たち北海道の市民団体は、苫小牧市に対して、がれき受け入れ表明の中止を要請致します。

2012年5月11日

震災瓦礫を考える市民ネット(苫小牧)
苫小牧にがれきをもってきてほしくない会
原発なしで暮らしたい室蘭市民ネット
クリーン北海道
ベクレルフリー・北海道
Shut
市民自治を創る会
脱原発!子どもたちを放射能から守る・江別実行委員会
核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会
脱原発カフェ・小樽
脱原発をめざす女たちの会・北海道
さっぽろ食まちネット
市民放射能測定所・はかーる札幌
北海道の未来のエネルギーを考える1万人の会
脱原発ネット釧路
風の町の未来‘s  (せたな)


(連絡先 TEL: 09026951937  FAX: 011-826-3796)



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